リハビリ研究 テーマの探し方 ~evidenceのつかいかた~③
Evidenceの使い方 ~手順~
STEP1.臨床上の疑問点の抽出と定式化(PICO or PECO)
STEP2.臨床上の疑問点に対する情報の検索
STEP3.得られた情報の批判的吟味
STEP4.得られた情報の患者への適応の検討
STEP5.プロセスおよび結果の評価
前回までで「STEP3.得られた情報の批判的吟味」までは書いたので今回はSTEP4.STEP5.について書いていきます
STEP4.得られた情報の患者への適応の検討
STEP2,STEP3で得られた情報を目の前の患者にどのように利用していくかを考えます。ここは大事なところだと思います。エビデンスがあれば全てそれを患者に使わなくてはいけないというわけではありません。実際なかなかつかえないことも多々あります。
1)自分の患者の臨床像は、論文の患者層に似ているか?
論文での対象の基準や除外条件は
➡目の前の患者に似ているか、除外基準に入っていないか
2)倫理的に問題はないか
3)PICOに関連した臨床上重要なアウトカムが評価されたか?
➡アウトカムが意味あるアウトカムか
4)論文の内容は、自身の知識・技術・経験と照らし合わせて実施可能か エビデンスを中立的に参照する(Therapeutic Conservatism)
➡例えば、手技など
5)所属する施設(設備・機器・環境)で実施可能か
➡論文に記載してある物理療法や最新機器などあるかどうか
6)介入計画の提案に対してリハチームの同意が得られた
➡その治療によって副作用や転倒など様々な影響が出る可能性がある場合は必ず同意をとって情報を共有するべき
7)論文の結果と担当者の説明に対して、患者の意向や価値観はどうか
などなどがあるかと思います。
ここのSTEPでありがちなのがエビデンスを患者に当てはめて、先入観的に結果を解釈してしまうことだと思います。エビデンスでなくても、例えば研修会にいって勉強したことをなんとなくついつい患者に使いたくなりますよね。
あとはチーム医療のためチームに同意を得ることとも大事だと思いますがチームよりも患者の同意が必要になります。わたしたちがいいことだからって治療を押し付けてしまうことがありますが今の時代は、患者も治療者を選ぶ時代ですからね・・結果がよければすべてよしってわけでもないですし。
①エビデンスの内容と患者の臨床問題の特性、セラピストの臨床能力・臨床経験・施設の設備や機器の状況などの要素を照らし合わせて介入方法を検討する
②立案した介入方針の内容とそれを選択した根拠、臨床的意義や効果、安全性などを患者に分かりやすく説明しインフォームド・コンセントを行う
最終的に患者の臨床問題や疑問点に最も適した介入方針を選択することがこのSTEPになるのですかね
STEP5.プロセスおよび結果の評価
最後のSTEPはいままでの過程を見直すことと、実際に利用してみての結果の解釈や有効性をみることになります。
1)1~4STEPが適切であったか
2)有効性はどうだったか
3)内容に対する満足度は
4)類似した症例を担当した際に考慮する点は
5)臨床的疑問点から派生した研究的疑問点は
などがあります。
1)~3)で有効性や満足度が低い場合は、再度STEP2~論文やエビデンスの検索が必要になります。エビデンスをつかうときも普段の治療時もですがしっかり評価や有効性や妥当性を検討することが大事になってくるとは思います。
4)に関してはその論文通りや類似した症例の場合、すこしやり方を変えなければならないなどその変更点は新たな研究につながる
5)は新たなテーマになるかと思います。エビデンス自体がまだ少ないため、そこから新たな研究テーマが生まれてくる可能性があります。また、研究テーマまでいかなくてもケーススタディーなどにもつながっていくはずです
STEP1~5なかなかすべてやるのは大変だと思います。ここまでちゃんとやらなくてもいいと思いますが一回流れをやるとそこまで大変ではなくなってくるので一度は一通りやってみると身につくかと思います。 まあそもそもそんなことやってるよって人は多いと思いますが自分の確認に書いてみました。
木村貞治、理学療法科学22:19-26,2007
すこし古いですが上の文献にEB(M)PTワークシートがありますのでご興味あればチェックしてみてください
EBMから研究へ
エビデンスをつかうのはここまでこまかくやらなくてもいいかと思いますが最終的に以下の問題点にぶつかってきます。
- 実際調べてもエビデンスが不十分で臨床判断が難しい
- エビデンスが患者に利用できない、そもそも評価方法が曖昧なため妥当性もわかならい
- 評価をしてもカットオフ値がないため、どうつながるかわからない などなど
患者に関する臨床的疑問を科学的に分析してみたい
臨床像に適した評価や妥当性・信頼性を検証してみたい
これらが研究的疑問になってくるのだと思います。
書いてるうちにすごくわかりづらくなりましたが、エビデンスのつかいかたについてかいてみました
福井次矢・他(編):Minds診療ガイドライン作成の手引き 2007.医学書院
エビデンスをつかえるようになったら、次はエビデンスをつくる側になれれば理想ですね。わたしはまったくできていませんが今後はつくる側になっていきたいです。