透析患者さんの身体機能
前回、途中から何を書いてるかわからなくなったので途中でやめてしまいました。
今回は整理するために、透析患者さんの身体機能のついて書こうかと思います。
まず、透析とは、半透膜を介して患者の血液と透析液を接触させることで血液から水分やナトリウムなどの過剰な物質を除去し、体内に不足している物質を補充して、体液の恒常性を維持する治療法!
透析にも血液透析(Hemodialysis:HD)と腹膜透析(Peritoneal dialysis:PD)があります。
HD:半透膜を組み込んだ透析器に血液を循環させ、処方された透析液を半透膜の外側に流し(200ml/min)、尿素・クレアチニン・尿酸・過剰な無機リン・カリウムなどを除去し、同時に塩分と水分を機械的圧力(限外濾過)で除去する。なお、体液側で不足する重炭酸イオンは透析液側から送り込む
PD では透析期間が長くなるに従い 腹膜の組織学的な変化とともに,腹膜機能(溶質 除去能,除水能)が障害され(腹膜劣化),残腎機 能低下を伴って透析不足や体液過剰が引き起こさ れ,生命予後を悪化させると考えられる。また, 被囊性腹膜硬化症の危険性が 8 年以上で高率とな ることから,現時点での PD の継続期間は 8 年未 満までが限界であると考える意見がある。
HD患者さんの身体的特徴
- 運動機能や運動耐容能は健常成人と比較して50~80%低下している。
中村 眞人ほか: 心臓23(SupplⅠ)1991:151-154. Sterky E et al:Scand J Urol Nephrol. 2005;39(5):423-30.
- 健康関連QOLは心不全やCOPDの患者と同レベルまで低下している。
PainterP et al : Hemodial Int2005Jul;9(3):218-35.
- 運動機能は透析期間の影響をうけて徐々に低下する。
齋藤正和・他.透析会誌40(2):2007
上の図は地域在住者の平均を100としたときのHD患者さんの身体機能です。
透析導入時すでに30%近くの患者でうっ血性心不全を合併している.また,非透析例とくらべて心不全の原因となる心疾患を高率に合併し,導入時における心機能正常者は16%に過ぎない.透析導入時には心不全がない患者でも,年間7%の割合で心不全を新規に発症する
日本透析医学会:透析会誌 44巻5号:337〜425,2011;p369
心不全の方も健常成人と比較して低下していると言われているため、HD患者さんも身体機能・QOLは下がってしまっているはしょうがないともいえるのではないでしょうか。慢性腎臓病(CKD)患者さんは加えて、CKDの重症度分類にもよりますがたんぱく質摂取制限もあるため身体機能はより低下しやすいと思います。
HD患者さんの日常動作
A:無症状で社会活動ができ、制限を受けることなく発病前と同等にふるまえる。 → 無症状
B:軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽作業や座業はできる。
例えば軽い家事、事務など → 軽度症状
C:歩行や身のまわりの事はできるが、時に少し介助のいることもある。
軽労働はできないが、日中の50%以上は起居している。 → 50%以上起居
D:身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助が要り、
日中の50%以上は就床している。 → 50%以上就床
E:身のまわりのこともできず、常に介助がいり、終日就床を必要としている。 → 終日就床
日本透析医学会 「図説 我が国の慢性透析療法の現況2009
上の画像は少し古いの調査ですが透析患者さんの年齢別の日常生活活動度です。
HD患者さんの平均年齢が68歳なので、そこをみると半数以上は肉体労働の制限を受けおり、2割は何らかの介助が必要となっているのが現状です。
特に以下の動作に介助を要する患者さんの割合
- 「入浴をする」 (7.7%)
- 「着替え」 (4.9%)
- 「室内を移動する」(4.8%)
- 「排便をする」 (3.3%)
- 「食事をする」 (2.4%)
一般社団法人全国腎臓病協議会2016
やっぱり入浴が一番介助を要する人の割合が多いんですね。
HD患者さんの身体機能を簡単にまとめてみました。 数年前に勉強したことですが書くことで思い出すので見てる人にはわかりずらい書き方をしていると思いますがご了承ください