血圧  拡張期血圧(下の血圧)とは

2019年9月28日

血圧って

血圧とは血管内の圧力なので心臓から流れる血液が血管を押す力と考えてもいいかと思います。

血圧には収縮期血圧と拡張期血圧がある。

収縮期血圧systolic  blood pressure;SBP):心臓が収縮して、血液を送り出したときの圧

拡張期血圧diastolic blood pressure;DBP):収縮期に心臓から送り出された血液はすべてが末梢に送られるのではなく、心臓に近い大動脈にも貯留し、これが拡張期に末梢に送られるときの圧

・収縮期の血圧は,加齢に伴い増加するが,拡張期血圧は,40~50代をピークとして以後逆に低下してくると言われている(のちに説明)

  ©OMRON HEALTHCAREより引用

 

脈圧(SBP-DBPの差):脈圧の増大は動脈壁のスティフネスの指標として知られている。基準値はおよそ40~60mmHg

平均血圧{(SBP-DBP)×1/3+DBP}:基準値はおよそ80~110mmHg

血圧の単位は、mmHg(ミリメートル水銀柱)です。最近は水銀を使わない電子式の血圧計が主流ですね。水銀=水×13.6なので 120㎜×13.6=163㎝H2O 手での水鉄砲で163㎝まで噴き上げる力でなのですごい圧力が必要になります

 病気がみえる 循環器

 

血圧の規定因子

 血圧は心拍出量と全末梢血管抵抗で規定される。なので簡単に考えると下図のようになる。

血圧上がる

心拍出量↑

×

全末梢血管抵抗→

心拍出量→

×

全末梢血管抵抗↑

心拍出量↑

×

全末梢血管抵抗↑

血圧下がる

心拍出量↓

×

全末梢血管抵抗→

 

心拍出量→

×

全末梢血管抵抗↓

 

心拍出量↓

×

全末梢血管抵抗↓

 

 

心拍出量の規定因子

拡張期血圧は何に起因されるの?

 収縮期に心臓から拍出された血液のすべてが末梢に送られるのではなく、60%程度は心臓近位部の大動脈壁の伸展によって大動脈に貯留される。貯留された血液が拡張期に抹消に送られて拡張期血圧を形成する。この機能をWindkessel機能と呼ぶ。

 

 

 上記で言ったように拡張期血圧も心拍出量×末梢血管抵抗によって規定される。

 若者では一般的に大動脈の伸展が保持されるので収縮期に大動脈に十分な血液が貯留されて、拡張期に送られる血液量は増えるので、拡張期血圧は維持されるが拡張血管の動脈硬化が進行すると拡張期血圧が上昇する。

 高齢者では加齢とともに太い動脈の血管壁の肥厚や拡大が起こり、血管壁には細胞外基質やCaの沈着が起こり、血管壁の伸展性が低下しスティフネスが増大する。また、血管内皮機能障害は血管拡張反応が低下する。なので大動脈の伸展性が減少するため、収縮期の心拍出量は同じでも大動脈に十分に貯留されず、末梢に送られてしまうので収縮期血圧が上昇して、逆に拡張期血圧は大動脈から抹消に送られる血液量が減少するため低下して脈圧が増大する。また、大動脈弁閉鎖不全症も拡張期に大動脈弁から心室に逆流してしまうため、貯留される血液量が減るため拡張期血圧が低下する。

 加齢に伴い動脈壁効果が進むと、脈波の伝搬速度が速くなる。血管内を伝搬する脈波のスピードは,その血管の伸展性が小さいほど、血管壁によるエネルギーの吸収がないため速くなる。最も速度が増加するのは大動脈。これは脈波伝搬速度の増加は、反射波の早期到達につながる。反射波は拡張期に到達し、冠血流量を増加させる。年齢が進むにつれて、反射波の到達は早くなり、収縮期に到達し、冠血流量の減少とともに収縮期血圧の増大から心室負荷へつながる。

  小原克彦:加齢に伴う血圧波形.Arterial Stiffness-動脈壁の硬化と老化

まとめ

 拡張期血圧は収縮期に心臓から拍出された血液のすべてが末梢に送られるのではなく、60%程度は心臓近位部の大動脈壁の伸展によって大動脈に貯留される。心臓の拡張期にこの貯留された末梢に送られる圧。

 拡張期血圧の変化には末梢血管抵抗、大動脈弁、内皮機能障害や中心動脈のスティフネス増大が関わっている。