心電図モニターの役割(不整脈の英語と誘導の特徴)

2020年1月26日

 

心電図モニターの役割

 心電図モニターは標準12誘導心電図と比較して、STの変化などは捉えにくい点はあるがその場で変化する不整脈や異常な心拍数の発見と監視、心筋異常の発見と監視などが簡易的にできる。 

心電図モニターのアラームの英語

心電図モニターはアラームで不整脈などを知らせてくれますがすべて英語で正直わかりずらい。

そもそも波形でわからなきゃいけない部分ではありますが、モニターの英語の略語が以下の通りです

メッセージ 意味
 ASYTOLE 心停止
 V FIB 心室細動
 V TACHY 心室性頻拍
 VPC RUN ショートラン(VPCが連続して3~8拍)
 COUPLET 二連性心室性期外収縮(VPCが連続して2拍)
 EARLY VPC 早期収縮性心室性期外収縮(RRインターバルが正常の1/3以下)
 BIGEMINY 心室性二段脈
 TRIGEMINY 心室性三段脈
 FREQ VPC 心室性期外収縮頻発
 TACHYCARDIA 頻脈
 BRADYCARDIA 徐脈

 ASYTOLEからVPC RUNまではアラームで知らせてくれるように初期設定でなっていることが多いですね。

主な誘導方法と電極装着位置

  •  不整脈の観察に適している誘導

  ⇒NASA誘導 P波の検出が良好な誘導。基線の動揺や筋電図の混入が少ない

  •  ST変化の観察に適している誘導

  ⇒CM5誘導 虚血性ST下降の約90%の検出が可能 

 

  長所 短所
CM5誘導 アーチファクトが少なく、波形の信頼性が高い。  V5誘導に近似 陰極が胸骨丙のため違和感がある
CC5誘導 左心室(QRS)の波形を反映し、心室性期外収縮が判定しやすく、自動解析時の拍検出に有利。  V5誘導に近似 呼吸の影響やアーチファクトの混入が多い。T波がわかりにくい
NASA誘導 P波が大きく、明瞭で上室性期外収縮や房室ブロックが判定しやすい。   V2誘導に近似 波形が体形によって異なる。
 CM5誘導
  虚血心疾患やPCI後で残存狭窄有、12誘導心電図や心エコー上虚血の疑いが心不全など
  ※ただし、左脚ブロックがあるとST部分で虚血の判定が困難なため自覚症状を頼るしかない。けれど糖尿病などの自律神経障害や高齢者などは自覚症状が出現しないこともあるため万全ではない。
 
    V5はだいたい左前腋窩線の第6肋骨
 NASA誘導
  虚血性心疾患由来ではない心不全、CABG後など
  
 

まとめ

 心電図モニターは12誘導に比べると情報量は少ないが、動作中のそのときの心臓を捉えることができるため特に運動中には有効。また、DrからはSTの変化はわからないと言われことも多いが虚血性のST下降の約90%の検出が可能と言われている。(ちなみに1~2mm以上の下降、書いてあるものによって違う)
 単純にⅡ誘導でも悪いわけではないが虚血性心疾患や虚血が疑われる患者はCM5誘導、虚血リスクがない場合はNASA誘導で不整脈のチェックすると判断しやすい。
 患者さんによって運動するときには見たいところを明確にして追加で電極を貼ることが大事だと思います