腎臓リハビリ 血液透析中と透析中以外のリハビリはどっちがいい?効果の違いは?
透析中の運動や透析中以外の運動がどっちがいいかはよく議論になっています
今回紹介する文献では結果的に透析中以外の監視下ほうが改善は大きい。。。けれど継続率が低かったとのことでした。下にまとめてます。
透析中と透析中以外の運動RCT文献の紹介
透析患者の運動療法では透析以外の時間や透析中と大きくふたつにわけられます。そこで今回は、透析以外の時間と透析中の時間に運動療法の介入したRCTの文献を紹介します。この文献は腎臓リハビリの論文やまとめなどによく引用・参考されている文献ですのでご興味あればみていってください。この文献はたしか無料でみれたと思います。
PEDroスケール スコア 4/10
[Eligibility criteria: Yes; Random allocation: Yes; Concealed allocation: No; Baseline comparability: Yes; Blind subjects: No; Blind therapists: No; Blind assessors: No; Adequate follow-up: No; Intention-to-treat analysis: No; Between-group comparisons: Yes; Point estimates and variability: Yes. Note: Eligibility criteria item does not contribute to total score] *This score has been confirmed*
PEDroスケールは簡単に言うとその臨床試験や研究の「信頼性」と適切な統計学的情報を含んでいるかどうかということ10項目から評価するものです。なので治療効果の大きさは評価しているものではありません。
スコア4/10なのであまり高いわけではありませんが同時に4つグループをみているものがないので重宝されるのではないかと思います。
【はじめに】
HD患者の最大酸素消費量(VO2 max)は15.0~21.0ml / kg / minであり、健康な人は35.0~40.0ml / kg / minと比べて半分の値である(7-9)。本研究の目的は、透析日以外の監視下の運動と透析中の運動と家庭での運動の3つの運動群が心肺機能に与える影響を比較することである。また、 プログラムの機能改善と参加率に関して、HD患者にとって最も効果的運動を特定すること
【方法】
年齢は21〜65歳の58名の少なくとも6か月間、毎週3回4時間のHDを受けているHD患者を4群に無作為に割り付けた。
GroupA:21名 非透析日に6ヶ月間の外来監督下の運動プログラムを実施。
毎週3回、約60分間、非透析日に行われた。10分間のウォームアップ、エルゴメーターやトレッドミルを使用し30分間の有酸素運動、10分間のクールダウンで構成されました。2ヶ月後、10分のストレッチと低負荷なレジスタンスを追加した。運動の強度は2ヶ月間は運動負荷試験で得られたHRmaxの60~70%の範囲内にとどまった。3ヶ月後には若年患者はバスケットボールとサッカーを週に1回、高齢患者はプールで泳いでいました。
GroupB:12名 血液透析中に6ヶ月間の監督下の運動訓練プログラムに従った。
週3回、HD中の最初の2時間に毎回60分行われた。運動訓練は、ベッド上での自転車エルゴメータ30分間と筋力や柔軟性のための30分間の運動を組み合わせて行った。強度は運動負荷試験で得られたHRmaxの約70%に相当した。サイクリング練習は最初の5分間は、ウォームアップ、自分のできる範囲で自動運動実施して、最後の5分間クールダウンで構成された。運動は、下肢にセラバンドや自重での下肢の運動を実施した。た繰り返しのセットからなっていた。回数やセット数、セラバンドや重錘を使用し負荷を増加させた。
GroupC:12名 透析6ヵ月間、非監督下で自宅で中等度の運動訓練プログラムを行った
グループCに含まれていた10人の患者は、移動式サイクルエルゴメーターを供給され、中等度運動トレーニングプログラムに従った。 最大心拍数の50〜60%の心拍数で、週に少なくとも5回、毎回30分の周期で運動しなければならなかった。
その後、彼らは単純な柔軟性と筋肉の伸展運動を行いました。 頻回に連絡をとり、毎月自宅に訪問しを訪問し、必要ならば運動プログラムを修正した。
GroupD:13名 HD実施の対照群
GroupE:15名 HD実施していない対照群
運動負荷試験
Bruceプロトコルに従って介入開始時と終了時に測定した。最大心拍数(HRmax)、総運動時間(Exercise time )、肺換気(VEmax)、最高酸素摂取量(VO2peak)、嫌気性閾値(VO2AT)および呼吸器を分析するためにスピロエーロメトリック研究から選択した運動パフォーマンスにアクセスするために、交換比率(RER)。乳酸(Lactic acid )を測定するために、運動負荷試験前および終了4分後に、右耳から血液サンプルを採取した。
統計学的解析
Wilcoxon符号付順位検定を用いて評価された。 Mann-Whitney U検定を用いて群間の結果を比較した。
【結果】
運動介入に関連する筋骨格、心血管または他の合併症はなかった。研究中の脱落はGroupA5例、GroupB1例、GroupC 2例でB群1例とD 1例は運動とは無関係の理由で死亡した。GroupAは脱落率が最も高く(23.8%)、その理由は時間の不足、交通機関の不足、運動に関連しない医学的理由などであった。GroupBおよびGroupCの両方における脱落率は16.7%であり、脱落理由は急性疾患であった。
上の表は運動負荷試験の介入前と終了時のHRmax・ET・VEpeak・VO2peak・VO2AT・RER・Lactic acid(乳酸)。介入前のGroupA~Dのベースラインでの有意差はなかった。
介入前と終了時の変化率の図になります。ET:運動時間 VO2 peak:最高酸素摂取量
【結論】
運動プログラムの順守は、HD患者の心肺能力の変化の臨床転帰に強力な影響を及ぼし得る。非透析日に運動することが最も効果的な訓練方法です。しかし、HD中の運動も、患者の視点からより適用可能であった。したがって、HD中の運動は、時間の問題や移動の問題があるため、監督下の非透析プログラムに参加できない方に強く勧める。運動の頻度や強度を一般的に制御しにくいにもかかわらず、非監督下での自宅訓練が効果的かつ安全であることが示されたことは注目できる。したがって、運動禁忌のないHD患者は、運動訓練プログラムに参加するよう奨励されるべきである。
まとめ
この文献はHD患者を透析中以外の監視下運動と透析中の運動と非監督下での自宅での運動と対照群の4群に分けたRCTであり、このような研究はあまり見当たらないですね。介入終了時の運動負荷試験の運動時間と最高酸素摂取率の変化率は運動介入なし以外の3群ともに向上しGroupA(非透析日の監視下)が最も効果が高かった。しかし脱落率も高い結果だった。透析中や家庭でのプログラムは運動効果はGroupAに比べて低いものの脱落率も低い。
継続率を考えると透析中の運動がいいのではないかと思いますが、効果が最も高いのはやっぱり非透析日の監視下運動なのでそこから自宅での運動に続けられるといいのではないかと思います。しかし、HD患者の身体機能は低下しているとともに透析期間とともに低下してくるとの報告もあるため、透析中であれば週3回は必ず来院するため透析中に自主練習を指導していくことも大事なのかと思います。
ご興味あればご自身でよんでみてください