透析患者の運動習慣と生命予後 O’Hare AM,et al:Am J Kidney Dis.2003

2019年5月14日

透析患者さんの運動習慣

最近は運動習慣や活動量と生命予後は関連しているとよく言われています。

そこで今回は透析患者の運動習慣と生命予後としてよくのっている文献

O’Hare AM,et al:Am J Kidney Dis.2003 41: 447–454について書いていきます。

これは無料ではないのでabstractのみは読むことは可能です。

文献の概要

【目的】

調査の目的は、座りがちな行動は他の死亡リスクファクタと潜在的な交絡因子の調整後の透析患者の大規模な全国的に代表的なグループにおける生存率の低下と関連するという仮説を検証すること

【方法】

米国腎臓データシステムの透析罹患率および死亡率試験(DMMSWave2)を使用して、透析療法(腹膜透析および血液透析)の開始時の患者の特徴と坐位行動を評価し、患者の生存と非活動の関連性を調べた。Wave2は、1996年に透析療法を開始した4,024人の透析患者の全国無作為検体の前向き研究であった.1997年に開始され、集計された集団の開始日となり、追跡データ収集は9〜12ヶ月後に完了した。

活動と非活動は右のアンケートによって調査された。

【結果】

活動と生存との関連性を明らかにするため先にその他の個人因子等を解析した。またSF36も使用して検討した

4,024人の患者がDMMSWave2に登録され、合計502人の患者が歩行も移動もできず、分析から除外された。残りの患者(N≧3,522)のうち、2,264人の患者が運動状態のデータを有していた。この研究集団を用いてベースライン特性の分析を行った。 非活動(N795)と活動(N1469)の患者の特徴を表2に示す。研究集団の3分の1以上が運動活動に従事していなく、非活動群はより多くの女性を含み、心臓病および末梢動脈疾患の罹患率がより高く、透析前の収縮期および拡張期血圧が低かった。非活動群の患者の大部分は血液透析(腹膜透析に対して)療法を受けており、活動的な患者よりも低いSF-36身体機能および一般健康スコアも有していた。

非活動群と活動群の患者の未調整の生存曲線が以下の図

 

生存率と統計的に有意な関連を示したすべての変数

 

試験開始時に非活動群と分類された患者は、生存に関連する他のすべての変数の調整を伴う非盲検患者と比較して、1年間で死亡リスクが62%高かった。

【 limitation】

質問指標であり、歩行も移動もできない患者は除外し動ける患者のみであった。死亡率はアンケートを完了しなかった患者にとって最も大きかった。病気の重症度はデータのみで限定的であった。運動に関する情報が質問指標であり自己申告および非定量的性質であった。

【conclusion】

In conclusion, we report a strong adjusted association between sedentary behavior and increased mortality in a large cohort of incident dialysis patients. This analysis suggests that any efforts to study mortality among dialysis patients should take sedentary behavior into account. Future observational and interventional studies should try to answer the question of whether increasing patient activity level can impact on survival.

O’Hare AM,et al:Am J Kidney Dis.2003 41: 447–454

運動習慣がない非活動群は,活動群と比較して死亡リスクが高く、運動を行わないことは低栄養・左室肥大と同程度に生命予後に影響する。といろいろな文献などに書いていますが原著はこんな感じでした。

2000人以上の大規模なコホート研究なので貴重なデータでした。しかし個人的な印象ですがもう20年前であり、平均年齢も本邦より若くアンケート調査なため日本でもこのような文献があるといいなっと思います。今後も文献などもまとめていこうかと思います。