呼吸音(肺音)と聴診 

呼吸音を聞くための解剖

まず、呼吸音を聞くために必要な解剖として以下のものがあります。

右の図の鼻腔、咽頭、喉頭、気管、気管支、肺で構成されます。

上気道:鼻腔、咽頭、喉頭までをよびます。

ナースフルのサイトより引用

鼻腔は大きなほこりは鼻毛でろ過され、小さいものは鼻粘膜に付着して除去され、付着したほこりは線毛うんどうにより咽頭に押し出される。鼻腔には静脈叢が発達しており、吸気は鼻腔を通過する間に粘液により75~80%まで加湿され36℃まで加温される。

このようなことからも吸気は鼻から吸うことが推奨されていますね。HFNCも100%の加湿と37℃程度で加温されていますね。加湿と加温がされていると感染の面にもいいですし喀痰しやすく(加湿により痰をやわらかくするため)するためにもいいんですね

下気道:気管から呼吸細気管支までをよびます。

赤点線までが気管支、呼吸細気管支以降はガス交換を行います。呼吸細気管支って書いてあるからそこまでってよく思いますよね。わかりづらい。なので試験などでよく出そうですよね

気管から気管支・肺・肺区域

気管は第6頸椎下縁から第4-5胸椎(前面だと第2肋骨)の高さで左右の主気管支に分岐する

気管の内径は16.5mm、長さは10~12cm、主気管支の内径は約10mm

体表からわかる解剖学人体解剖学

すなわち気管異物は右気管支に落ち込みやすく、深く挿入されたチューブの先端は右気管支に入りやすい。左主気管支は右主気管支に比較的して長くて、やや細い。

右には右上葉・中葉・下葉の3葉。左には左上葉(舌区)・下葉の2葉がある

肺区域

右:上葉(S1、S2、S3) 中葉(S4、S5)  下葉(S6~S10)

左:  上葉(S1+2、S3~S5)  下葉(S6、S8~S10)

病気がみえるvol.4 呼吸器

体表面からみたランドマーク

  • 胸骨角と第2肋骨は気管分岐部
  • 乳頭の位置は第4肋骨で上葉は第4肋骨より上
  • 心尖部は第5肋骨と鎖骨中線の交点
  • 肩甲骨下角は第7肋骨でS6
  • 後面では上葉と下葉の境界は第2(3)胸椎から腋窩に引いた線
  • 中葉は第4肋骨と第6肋骨に挟まれた部位
  • 下葉の下端は側面では中腋窩線と第8肋骨交点
  • 下葉の下端は後面では肩甲骨線と第10肋骨(硬い肋骨の交点)

聴診

肺に起こっている現象をリアルタイムに把握することができる

原理

身体の密度で音の伝達性が異なること利用している、気道の中を空気が流れる音と肺胞に入る空気の音を胸壁から聴取し、音の高さや長さの特徴を捉える

換気状態の確認 気道内分泌物有無の確認

呼吸音のメカニズム

呼吸音は気流の乱流成分や過流成分が音源となって発生する

  • 気管支音:気道の乱流で発声  呼吸音の音源
  • 葉気管支や区域気管支:移行流で呼吸音の音源となりうる
  • 終末細気管支から肺胞:気流はほぼ消失する。拡散のたま肺胞領域では呼吸音は発生しない
  • 肺胞音:肺胞内の渦流で発生?第9分岐部(2~3mm以上)の気管支で発生。層流では音は発生せず、乱流で発生する。
  • 水泡音(coarse crackle):気管内の水泡膜の破裂で発生
  • 捻髪音(fine crackle):つぶれた末梢気道が吸気に急速に再開通して発生
  • いびき音(rhonchus・rhonchi):大きい気道の分泌物や狭窄部を通過する乱流によって発生
  • 笛様音(wheeze):細い末梢気管支の分泌物や狭窄部を通過する空気によって発生
  • 胸膜摩擦音:フィブリンなどが析出し、表面が粗くなり呼吸に伴い臓側胸膜にこすれて発声

肺音の分類

病気がみえるvol.4 呼吸器

連続性ラ音

  • 笛音(wheeze):気管支喘息、腫瘍による気管・気管支狭窄など
  • いびき音(rhonchus・rhonchi):気管支喘息、閉塞性肺疾患、気管支拡張症、心不全など

断続性ラ音

  • 捻髪音(fine crackle):肺線維症、間質性肺炎、塵肺、肺水腫初期、肺炎初期など

肺側肺底部に多く、吸気に従って音源が移動することも多い

  • 水泡音(coarse crackle):気管支拡張症、肺炎、慢性気管支炎、肺気腫、心不全など

疾患の区域上の胸壁で聴取でき、咳嗽などにより変化する

聴診手順

①推奨されるのは座位で、正面ではなくよこからできる限り広く聴診する。しかし実際は背臥位や側臥位で聞くことが多い

②上部から下部へ左右を比べながらすすめていき、呼吸音の異常や呼吸音の大小(エアー入り)に注意する。正直わたしは細かく肺区域等は覚えられていないので

③ラ音を認める場合は連続音か断続音と呼気・吸気のどのタイミングでどのような音の性質かを区別する。正直きれいに区別することは難しい気もします。いくつか同時に聞こえることも多いので

④ラ音が聞こえたら、体位を変えたり咳嗽後に変化を確かめる。

聴診の記載方法

部位・音の強弱・出現のタイミング・音調ぐらいですかね

部位:左右の上葉・中葉(舌区)・下葉や両側性や一側性など

音の強弱:減弱や消失など

出現のタイミング:吸気・呼気相の早期や終期などわかりやすく

音調:高音や低音か、連続性や断続性ラ音など

人によってさまざまなので正解はないかと思いますが、医療関係者がわかりやすいように記載することと自分でみてもわかるようにすることが大事かと思います。けっこう忘れてしまうので記載しているといいと思います。

聴診自体はわたしもまだ全く自信がありません。なのでなるべくどんな人でも呼吸はしているので1回は聞くようにしています。繰り返し聞くことで耳が慣れてくると思います。素肌,衣服の上や日によってバラバラだと聞こえ方も違ってしまうので一定の方法で集中して聞くことが大事
今回、大分参考にさせてもらったものでわかりやすく第3版は呼吸音もスマホで聞けるみたいです。

古いですがわたしはこれで最初勉強しました。

呼吸音はyou tubeなどにもいろいろありますので一度聞いてみてもいいかと思います。いろいろわかりづらくなってしまいましたが今回はここまでにします。