集中治療患者におけるNHFの有効性を評価 Parke RL:Respir Care 2011 

2019年10月14日

 集中治療患者におけるNHFの有用性を評価するするための予備的無作為化対照試験です。

Parke RL.: A preliminary randomized controlled trial to assess effectiveness of nasal high-flow oxygen in intensive care patients.Respir Care. 2011 Mar;56(3):265-70

はじめに

 高流量酸素療法はICUで抜管後の低酸素性呼吸不全患者に日常的に使われる。流量限界があることや呼吸困難患者は口から呼吸する傾向があるため鼻カニューレよりフェイスマスクを介して行われる。最近の研究では高流量フェイスマスク酸素療法(HFFM)は気道の乾燥や不快感などと関連した合併症がいわれている。健常者でのNHFの研究は正確なFIO2の供給とともにガス流量の増加とともに咽頭陽圧を生じさせることが示された。

目的

 本研究の目的は、軽度から中等度の低酸素性呼吸不全患者において、HFNCがHFFMより忍容性が良好で治療失敗が少ないかどうかを評価することであった

方法

デザイン

 前向きRCT(無作為化対照試験) 心臓胸部や血管ICU 24床での

対象

 軽度~中等度の低酸素性呼吸不全患者60名。

データの抽出

  • Acute Physiology and Chronic Health Evaluation II score,
  • Sequential Organ Failure Assessment score,
  • 動脈血ガス分析・SpO2・呼吸数・心拍数のべースラインと30分、1時間、2時間、4時間後

呼吸器の設定

NHF群の初期流量は35L/minでSpO2かSaO2が95%以上になるように設定した。HFFM群は31℃の加湿酸素と32㎎H2O/LでSpO2かSaO2が95%以上になるように設定した。

患者が登録から24時間以内に割り当てられた酸素療法を維持され、または割り当てられた酸素療法から離脱した場合、成功したと見なされた。治療の失敗は登録の24時間以内に呼吸補助装置の交換を必要とする悪化した呼吸不全として定義された。

統計解析

PaO2 / FIO2は、ベースラインデータを除外して4時間の単純平均し、ベースラインに対して調整した共分散分析と比較しました。年齢、性別、診断、急性生理学および慢性健康評価IIスコア、ならびに逐次的臓器不全評価スコアを説明するために、PaO2 / FIO2の追加の回帰分析も行った。

治療の成功、NIVを必要とした患者の数、および酸素飽和度の低い患者の数の違いを比較するために、Fisherの正確検定を使用した。

結果

60人中4人が除外された。治療の成功はHFFM(15/27)よりもNHF(26/29)が多かった(p<0.006)。NIVの確率はHFFM群(8/27;30%)とNHF群(3/29;10%)であった。連続した酸素飽和度の低下はNHF群が有意に少なかった。

両群のベースラインのデータ

NHF群の42%(8/19)と比較して、HFFM群の71%(10/14)NHF群と比較してHFFM群は少なくても1回は低酸素を呈していた。

最初の4時間(28 NHF、22 HFFM)に完全なデータが得られた患者のPaO2 / FIO2を分析しました。PaO 2 / FIO 2は群間で有意差はなかった(P≦0.08)。しかしながら、他の共変量について調整した追加の回帰分析は、NHFを支持する治療効果を示した(P≦0.03)。ICU転院までの期間も入院期間も有意差はなかった(分散分析により、それぞれP <20、P <.11。生存分析でも同様の結果が得られたことに注意)。他の測定された変数(動脈血ガス分析、呼吸数、心拍数、およびSpO 2)のうち、4時間後の平均pHのみが効果を示し、そして上記の共変量について調整された場合にのみであった(P≦0.04)。

考察

NHF群とHFFM群の間で治療の成功に有意差があることを我々は見出した。上気道抵抗軽減による呼吸努力の減少が関係している可能性がある。その他、酸素化を維持しながら、患者の忍容性(快適さと耐性)がよいことや繊毛クリアランスの改善や死腔の洗い流しなども影響を与えた可能性もある。

研究グループのICUでは、HFFMを介して供給される酸素を加熱し加湿します。 HFFMグループが、加熱も加湿もされていない酸素を摂取していれば、治療効果がさらに高かった可能性があります。

limit

割り付けの盲目や呼吸療法は主観的な意思決定がなされていた。酸素飽和度低下が両群で数の違いがあったがデータは数時間後に取得したため直性的な起因やソフトバンクの問題もあった。この研究の限界にもかかわらず、NHFは大規模で、よくデザインされた臨床試験におけるさらなる調査を正当化する呼吸管理の有望な新しい分野であるように思われます

結論

NHFは、集中治療環境で利用可能な呼吸療法のレパートリーで成長している場所を持っています。 この研究では、NHFは軽度から中等度の低酸素症性呼吸不全の治療においてHFFMより成功していました。 本研究で見いだされたNIV率の違いは、オプティフローシステムによってもたらされた陽圧に起因すると我々は仮定する。 この予備的無作為化比較試験から得られた結果は、呼吸療法の治療結果に対するNHFの影響に関する適切な研究の発展を知らせるでしょう

 

 

 2011年と少し古い文献ですが同じ高流量を鼻カニュラとマスクで比べた報告です。一番はNIV率の違いでしょうかね。NHF(HFNC)は①高濃度まで正確なFiO2設定②解剖学的死腔の洗い出し(ウォッシュアウト)③上気道抵抗の軽減④PEEP効果と肺胞リクルートメント⑤気道の粘液線毛クリアランスの維持が主な生理学的特徴として言われています。この文献としては生理学的特徴の影響も言われていますが忍容性が関係していることが述べられていますね。この忍容性が数値がされていないのが残念ではありますがNHF(HFNC)の可能性が見いだされた研究だったのですかね。

自分のための自分なりの翻訳なのでで間違い等々あると思いますがご了承ください