HFNC(NHF)を使用するとリハビリの効果がより向上する   

2020年9月13日

 HFNC(NHF)は、いろいろ使用されてきていてますが、リハビリに関しての文献はまだ少ない印象です。Cirio S, et al . Respir Med. 2016 Sep;118:128-132.について書いてみます。

Effects of Heated and Humidified High Flow Gases During High-Intensity Constant-Load Exercise on Severe COPD Patients With Ventilatory Limitation

背景

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者は、重度の呼吸困難や筋力低下を主な症状として運動制限を訴えることがよくあります。運動誘発性呼吸困難の重要なメカニズムは、換気能力と換気需要の不均衡である。HFNCは死腔の洗い出しや高流量のFiO2を供給できる。

 運動制限のある重度のCOPD患者では、HFNCが換気効率を改善し、運動パフォーマンスの向上につながると仮定し、安定した重度のCOPD患者の持久(耐久)時間に対するHFNCの効果を評価するためにランダマイズクロスオーバー試験を実施した。

方法

 対象:安定した重度のCOPD患者12人に対してランダム化されたクロスオーバー試験

除外基準:左心不全、COPD以外の肺障害、神経筋疾患、骨関節疾患、COPD増悪(過去3か月以内)、投薬状況の変化(1か月以内)、貧血

全3日間のうち初日にサイクルエルゴメーターにて最大運動能力を評価し、一定負荷の間に使用するSaO2が85%未満の値に達した場合、テスト中の平均SaO2を88%より高く維持できるFiO2も決定した。残り2日間で負荷運動テストを行った。各運動テストの耐久時間を記録しました(Tlim)。さらに、末梢のSaO2、心拍数(HR)、血圧(BP)、呼吸困難(Borg-D)および下肢の疲労(Borg-F)が、テストの終了まで毎分記録されました。

結果

 脱落患者もなく、テスト中の有害事象も認めなかった。

 平均仕事量44±17 W 平均FiO2 0.44±0.11の酸素を使用 HFNC中に使用された平均流量は58.7 L / min(範囲55-60 L / min)

HFNCテスト中のTlimは、コントロールテストと比較して有意に高かった(平均差109±104秒、p <0.015)、平均41±36%増加

HFNC(■)、コントロール(〇) 運動中のBorgDとBorgFはHFNCテストで大幅に減少

図Aは全12名のHFNC(■)とコントロール(〇)の数値

図Bは追加酸素した8名のHFNCとコントロールの数値

図Cは酸素追加なし(FiO2 0.21%)4名のHFNCとコントロールの数値

運動中HFNCテストのほうがに有意に高かった(* p = 0.0002)。 

結論

 このパイロット研究は、HFNCが換気制限のある重度のCOPD患者の運動能力を改善する可能性があることを示した。この効果は運動中のSaO2と呼吸困難の症状が改善することが関連している

Cirio S, et al . Respir Med. 2016 Sep;118:128-132.

 自分なりの翻訳なのでニュアンスが違うかもしれませんので注意してください。HFNCは近年使用頻度が増えていますが、まだNPPVほどリハビリの効果は得られていないのでこうゆう文献が増えるとHFNCを利用したリハビリも増えるではないでしょうか

 Fulltextは無料でみれるのでぜひよんでみてください。