呼吸療法認定士 勉強 範囲 

2020年1月26日

 呼吸療法認定士は呼吸に関する知識が必要になります。テストのための講習会があり、認定講習会テキストがあり範囲は以下になります。

  1. 呼吸療法総論
  2. 呼吸管理に必要な解剖
  3. 呼吸管理に必要な生理
  4. 血液ガスの解釈
  5. 肺機能とその検査法
  6. 呼吸不全の病態と管理
  7. 薬物療法
  8. 呼吸リハビリテーション
  9. 吸入療法
  10. 酸素療法
  11. 人工呼吸器の基本構造と保守および医療ガス
  12. 気道確保と気道管理
  13. 1.人工呼吸とその適応・離脱  2.NPPVとその管理法
  14. 開胸・開腹手術後の肺合併症
  15. 新生児・乳幼児の呼吸管理
  16. 1.人工呼吸中のモニタ(その1) 2.人工呼吸中のモニタ(その2)
  17. 呼吸不全における全身管理
  18. 人工呼吸中の集中治療
  19. 在宅人工呼吸

 19の項目に分かれています。なかなかの量がありますね。

1.呼吸療法総論

 呼吸療法の歴史

 1930~1950年にかけて欧米で大流行したポリオに対して’’鉄の肺’’(体外陰圧法)による呼吸管理が行われ、次にカフ付き気管チューブ挿入下の用手陽圧人工呼吸が始まった。

1744年 溺水患者に口対口人工呼吸施行

1754年 二酸化炭素の発見

1771年 酸素の発見

1871年 カフ付き気管切開チューブの開発

1878年 高濃度酸素吸入の有毒性の発見

1908年 経口エアウェイの作成

1910年 カフ付きゴム製の気管チューブの公安

1929年 タンクベンチレータ(鉄の肺)の作成

1934年 呼吸理学療法の実施

1942年 米国でペニシリンの臨床投与

1953年 手動式陽圧人工呼吸装置の開発

1954年 従量式人工呼吸器の市販

1956年 血液ガス分析装置の開発

1962年 IRDSの原因は肺サーチファクト欠乏と指摘

1967年 ARDSの概念と持続陽圧呼吸の効果を指摘

1971年 間欠的強制換気の導入

1981年 カプノメーターの臨床使用

1983年 パルスオキシメーターの臨床使用

1985年 在宅酸素療法の保険適用

1990年 在宅人工呼吸療法の保険適用

呼吸関連の法律の施行

 1897年 伝染病予防法。結核予防法を除く伝染病予防法、性病予防法およびエイズ予防法を一本化した「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」が1999年に制定され、2003年に改正された。1951年に結核予防法が制定され、結核が再燃の兆しがあったため2005年に結核予防法が抜本改正された。さらに2007年に結核予防法を縫合する感染症法に改正された。

公衆衛生

 院内感染とは

  ①医療施設において患者が原疾患とは別に新たに罹患した感染症

  ②医療従事者などが医療施設内において感染した感染症

 昭和20年代(1947~)の死亡原因第1位は結核、次いで肺炎や脳血管疾患。1950年代は1位は脳血管疾患、悪性新生物、心疾患。1980年代になると悪性新生物が1位となり、脳血管疾患、心疾患で80年代途中から心疾患が抜いて2位となり、このころから肺炎が原因でなくなる人が増えてきた。そこからは悪性新生物・心疾患・脳血管疾患が不動の順位でしたが一時期、肺炎が3位になりましたが2017年には不動の順位にまた戻りました。老衰が4位となり肺炎が5位になっています。

 厚生労働省 平成29年(2017)人口動態統計月報年計(概数)の概況より引用

関連法規

 医師には診察義務と開示義務がある。入院時に医師には必要に応じて医療従事者と共同して入院診療計画書を策定し、7日以内に患者に説明する。

 診療録や看護記録などは公的文書として記載し、修正するときはペンあるいはボールペンを用いて二本線で行い、修正前の記載内容が判るようにしなければならない。診療録は5年間保存しなければならない。

 届け出義務には麻薬中毒(都道府県知事)や食中毒(保健所長)がある。感染症には2008年5月に一類から五類と新型インフルエンザ等感染症の101疾患が指定された。一類は感染性、重篤性などに基づく総合的な観点から危険性がきわめて高い感染症。三類は同様に危険性が高い感染症であり、三類は危険性は高くないが、特定の職業への就業によって集団発生を起こし得る感染症。四類は動物や飲食物などを介して感染し、国民の健康に影響を与える恐れのある感染症。五類は国が発生動向の調査を行い、その結果に基づいて情報提供や公開によって発生蔓延を防止すべき感染症。

一~四類感染症および新型インフルエンザ等感染症を診断した場合、医師は感染症ごとに専門の感染症届出票に記載し、直ちに最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届ける。五類感染症のうち、全数把握が必要な疾患を診断した場合は、医師は7日以内に保健所長に届け出る。ただし、麻疹は24時間以内。

感染症の範囲及び類型について – 厚生労働省より引用

 

 輸血用血液製剤や人血漿分画製剤、ヒト細胞組織医薬品などは感染の危険がある特定生物由来製品に指定され、医療機関ではそれらの投与患者氏名、住所、投与日、製品名、製造番号、記号などを管理簿に記載し、少なくとも20年間は保存しなければならない。

心得・インフォームドコンセント

 医療行為を行うには①人間尊重に基づく行動、②正確な知識・技量の習得と向上、③観察力・判断力・注意力、④行為の確認、などに責任をもつ。科学的根拠をもった医療を提供するべきであり、乏しい医療をする場合は十分に説明して同意を得る必要がある。

 ある特定の疾患における患者のための最良の診察を考えるとき、多職種との連携のなかでそれぞれの専門的知識や技術を適切に提供する工程を描き、それに基づいて診療・評価を行うのに用いられるのがクリニカルパスである。クリニカルパスの目的としては①リスク管理・安全対策への貢献②医療情報の共有化③良質な医療の標準化・効率化④患者中心の医療体制の構築⑤医療従事者の医学知識レベルの向上⑥医療資源の節約などがある。

インフォームドコンセント:医師や医療従事者が患者に病名や病状あるいは実施が予定されされているけんさや治療について十分に説明し、患者はその内容を理解して納得・同意をしたうえで検査や治療を受ける診療上の原則

 1964年にフィンランドのヘルシンキで「ヘルシンキ宣言」が採択された。基本原則は患者・被験者複利の優先、本人の自由意志による参加、インフォームドコンセントの必要性や倫理審査委員会の事前審査、基礎実験を経て研究をはじめるなどである。

保険診療

 平成28年度の国民医療費は42兆1,381億円、人口一人当たり国 民 医 療 費にだと65歳未満183900円、65歳以上は 727300円で傷病別では「循環器系の疾患」5兆9,333億円(構成割合19.7%)が最も多く、次いで「新生物<腫瘍>」4兆2,485億円(同14.1%)、「筋骨格系及び結合組織の疾患」2兆3,326億円(同7.7%)、「損傷,中毒及びその他の外因の影響」2兆2,974億円(同7.6%)、「呼吸器系の疾患」2兆2,591億円(同7.5%)となっている。呼吸器疾患では①気管,気管支及び肺の悪性新生物②肺炎③喘息④慢性閉塞性肺疾患の順で医療費がかかっている。

平成 28 年度 国民医療費の概況

 

 3学会呼吸療法認定士 認定講習会テキストを参考にして自分がべんきょうしたとところをまとめてみました。