摂食嚥下機能の5期モデルと観察のポイント
食道期
食後や経管栄養後に不快感の訴えは?
食道蠕動の低下・胃食道逆流(GERD)
〔対応〕食後2時間、体幹30度以上
24h常時、15度以上(就寝時も)
嚥下機能の臨床上の評価・スクリーニングテスト
聖隷式嚥下質問紙
臨床症状としての評価でメジャーなのが自記式質問票による「聖隷式嚥下質問紙」があります。
臨床上簡易的であり、わかりやすいのですが認知機能低下しているかたにとってはなかなか難しいのが現状です。
反復唾液嚥下テスト(RSST)
手順)① 口腔内を湿らす
② 人差し指を甲状軟骨上端に沿える
③「唾を飲んでください」と指示する
④ 30秒間に甲状軟骨は人差し指を
乗り越えた回数をカウントする
陽性:3回未満/30秒間
指示理解不良の場合、実施困難
このテストも指示理解が不良だと実施困難なため完ぺきではないですが看護師さんも含め、よくやるテストです。
喉頭位置の確認
① 軽く顎を引いた状態にする
② 甲状軟骨の隆起部、切痕部を触る
③ 甲状軟骨の上の舌骨を親指と人差し指で触る
改訂水飲みテスト(MWST)
手順)① 3mlの冷水を口腔内に注ぐ
② 嚥下後に2回の嚥下運動を追加する
③ 評点が4点以上の場合は、最大3回まで 施行し、最も悪い評点を記載。
1点 :嚥下なし、むせまたは呼吸変化を伴う
2点 :嚥下あり、呼吸変化を伴う
3点 :嚥下あり、呼吸変化はないが、 むせあるいは湿性嗄声を伴う
4点 :嚥下あり、呼吸変化なし、むせ、湿性嗄声なし
5点 :4点に加え、追加嚥下運動(空嚥下)が30秒以内に2回以上可能
判定不能 :口から出す、無反応
陽性:3点以下 ※変法:誤嚥リスク高い場合は、トロミ水で実施
フードテスト
手順)① ティースプーン1杯のプリンなどを嚥下する
② 嚥下後に2回の嚥下運動を追加する
③ 評点が4点以上の場合は、最大3回まで施行し、最も悪い評点を記載。
1点 :嚥下なし、むせまたは呼吸変化を伴う
2点 :嚥下あり、呼吸変化を伴う
3点 :嚥下あり、呼吸変化はないが、むせあるいは湿性嗄声や口腔内残留を伴う
4点 :嚥下あり、呼吸変化なし、むせ、湿性嗄声なし 追加嚥下で口腔内残留消失
5点 :4点に加え、追加嚥下運動(空嚥下)が30秒以内に2回以上可能
判定不能 :口から出す、無反応
陽性:3点以下
上の改訂水飲みテスト(MWST)のフード(食物用)版ですね
頸部聴診法
頸部聴診法とは、食塊を嚥下する際に咽頭部で生じる嚥下音や嚥下前後の呼吸音を、頸部に当てた聴診器で聴診することで、主に咽頭期における嚥下障害を判定する方法。
頸部にあてて聞くため小児用の方が扱いやすい。
①嚥下前の呼吸音を聴診
②嚥下音を聴診
異常音:詰まり音・弱い音・逆流音・反射遅延・連続音
③嚥下後の呼吸音を聴診
異常音:むせ(喀出音)・湿性呼吸音・呼吸パターンの乱れ・湿性嗄声
輪状軟骨直下の気管外側上の皮膚面に当てる
*輪状軟骨:のど仏の真下にあるやや硬いリング状の軟骨
※精度を上げるため聴診前に痰が絡んでいる場合は排除しておく
頸部聴診法はまだエビデンスがしっかりと確立されていなかったと思います。けれどしっかり聞くと変化はわかります。まず聞かないと何も始まらないのでまず聞いてみることが大事かと思います。自分の嚥下音聞いたり、他人の聞くといいですが高齢者は姿勢影響などでなかなか聞きづらい印象です。
食事時の観察のポイント
①食事姿勢
・頚部前屈位になっているか? ・安定した座位姿勢か?
②食べ方(介助、環境)
・集中している? ・一口量は? ・ペースは?
③食形態
・食べづらそうな物がある? ・水分にトロミが必要?
姿勢の異常があれば補正する。 個人的にはすぐに対応できるのですがなかなかわかりづらくうまく行かい場合もありますがいろいろ試してみることも大事です。
- 評価をして安全な栄養摂取方法を探す。姿勢,食べ物,食べ方を変更しながら一口ずつスクリーニングするつもりで摂食場面を観察する。
- 安全な姿勢,食べ物,食べ方が見つかっても食べる量が足りない場合には,補助栄養の使用を考慮する。
それでも改善がみられない場合には,VEやVF検査を行い安全な食事摂取方法を見つけることが大事です。VEやVFをやっていないこともあると思いますが、しっかりVEやVFを実施することができると誤嚥を減らせるかもしれませんね。
<“藤島式”嚥下体操セット>
藤島式”嚥下体操セット
上記のような簡易的な体操もありますね。こういった体操を定期的に続けることが予防につながると思います。
わたしも嚥下等をやる機会は現在はほぼありませんが、今回はSTさんほど詳しくなく誰でもできる内容を自分のために書いてみました。もう少し自分で勉強して嚥下に関する筋肉や食事の姿勢等も書いていこうかと思います。